言葉のない宙に 何にも触れずに浮かぶ 傷つかぬよう円くなって
身体中にかかるGに耐えて恍惚とする
消えてしまう一歩手前に踏みとどまり目眩を楽しむ
異常な安らぎ
スピードの出る危険なものを操って、遥かな距離を行き来する
振り子のように
*
気を緩めると
背後に佇み切りつける影
彼は己の心に泣く
やり場のない怒りを切りつけることで紛らして
恐怖におびえた顔はますます凄まじくなる
迷路から出たあと
眼は日に日に落ちつきを取り戻し
目の下のどす黒さも薄れて
いつのまにか、不平不満は復活する
傍若無人な振る舞いも
強化された装甲は鈍く輝き
いまや無敵のおまえはクールにすべてをやりすごすが
背後の悪魔はまだしがみついたまま
時折切りつけられる背中は傷だらけで
おまえはそれを気にしている
*
ちらつく夢の破片に神経を尖らせ
忘れられた物語の空気を甦らせようとやっきになる
記憶のフィルムはぼやけて暗い
ピンホールから覗いたよう
今にして合点がいく、暗号めいた言葉の数々
ポロリとどこかが崩れ
息苦しさから救われ
背骨の軋みも取れる
そして思う
もう潜るものかと
*
血肉の躍るのをなんとか宥めすかし
冷たい眼を保ちながら徘徊し
学んだ公式に数値を当てはめ
確認しながら息を吐く
迫る緊張に壊れそうなポンプはギリギリ耐えている
思い出した、この状態
自分を演じる影と逆転した瞬間
今度こそ違えずにやり通す綱渡り
思索の糸はプチンと切れ
吹き出す血と幽霊!
盲いた心に無意味な道案内
その一歩が出ない
*
眠りに脳を蝕まれ
息苦しく喘ぐ
血は足りずに滞り
口腔はただただ貪り
せっせと注ぎ込むものすべて垂れ流す穴という穴
それでも笑い続ける頬はこけて
苦痛に鈍感になる
眼は虚空に漂い
口元が弛む
身体は軽く飛び回るが足元はいつも踏み外す
少し動いても必ず何か壊してしまう
散り散りの集中力
つぎはぎの精神力
一秒一秒を忘れ去ることでやっと生き長らえる


